
「冷めきった心を温めなおし、火をつけたい!」
「もっともっと全力を出し切って、達成感を感じて生きたい!」
「今よりも自尊心が持てる、誇り高い生き方をしたい・・・」
会社で仕事をしていて、そんなふうに感じることはないだろうか?
これは会社員特有の“恵まれた葛藤”の1つである。
「ちゃんと、そこそこ出世しているのに、もっともっと突き抜けたい―――」
そんな感情を抱く会社員が大勢いる。
もっともっと高みを目指したいという気持ちと
「能力があれば出世できるとは限らない」
という不条理に対する葛藤が、ストレスにつながることがあるようだ。
これは「出世を無視して我が道を行く会社員」にはない“葛藤”であるような気もする。
このときに「会社と完全に切り離した副業・趣味・社外活動に身を投じる」といった、心のシフトをする人を多く見かける。

しかし、こういった「完全会社切り離し型のシフト」ではなく
「会社のプラスになるかもしれない社外・社内ハイブリッド型ブランディング」
へのエネルギーの転化をするパターンもある。
そのひとつが「本の出版」だ。
ちょっとした冒険で始めた本の出版という副業が、社内での昇進や部署移動に役立ったという話である。
大手商社に勤務している氏家さん(男性・45歳)は、もうだいぶ長く会社の某部署の次長をしていた。
なかなかの出世だったのだが、それに満足できてはいなかった。
もっと、もっと突き抜けた出世を望んでいたのである。
仕事の成果が出ないということではなかったが、自分よりもより成果を出す若手や、より高い職位に出世する同期に葛藤を感じていたのだった。
仕事へのモチベーションが下がり、「全力を出し切らないままノルマをこなすだけ」の毎日を過ごしていた。
そんなとき彼は「本の出版」を目指すことを決心する。
本ならば、自分の能力次第で、なんとでもできる。
売れればスターになることもカリスマになることもでき、自尊心も満たされる。
その後、氏家さんは私の出版講座とコンサルを受け
「誰にでも使えるビジネスに役立つマニュアル集」
の本の企画をした。
本業とは完全には被らない内容でありながらも、本業の方々も使えて、少し会社の宣伝にもなる「絶妙な配分」の本であった。

私が出版社に売り込んだところ、見事採用になり、その旨を会社の人事部に申請をした。
本の出版は、届け出を出せば認められる社内規定があったようだ。
氏家さんは、毎朝5時起き1時間の執筆で、これまでの経験と自分の感じていることを、思う存分表現した。
本を書くということは、独断のワンマンステージで誰もが輝く。
氏家さんの表情は、みるみる活気を取り戻し、生き生きと日々を過ごすようになった。
そして、出版デビューを祝う出版記念パーティでは、多くの人からの祝福を受けた。
――と、その数カ月のことである。
氏家さんの会社で、人事異動が発表された。
彼はそこで、世の中の動きを調査したり、それを書籍として発表したりする社内の重要な部署の最高責任者に異動になったのである。
まさに命の使い道、心の炎の燃やす場所が見つかり、生きなおしに成功したパターンと言えるだろう。

これから、大好きな本の出版に大手を振って“本業で”関われるようになったのだ。
好きでやった「やらなくていいこと」が、社内での昇進に役立つことがある――
そんなことがある。
しかし、この未来は氏家さんが、勇気をもって、自分の心に従い、やりたいことをやるための冒険的一歩を踏み出したからこそ得られたものだ。
魂が喜ぶほうへ、思い切って行動する――
これができた人だけが得られる「幸せな生きなおし」と言えるのかもしれない。
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